会社の形態について

会社形態の選択は、起業または組織変更において重要である。ビジネスの内容、規模、利益などによってその選択は異なるが、これは一般に“choice-of-entity” decisionと呼ばれている。以下の形態について簡単に説明します。

    1. Sole Proprietorship
    2. Single-Member Limited Liability Company (SMLLC)
    3. S Corporation
    4. C Corporation
    5. Multi-Member Limited Liability Company (MMLLC)
    6. General Partnership (GP)
    7. Limited Partnership (LP)
    8. Limited Liability Partnership (LLP)



  1. The Sole Proprietorship
    この形態は、所有者が一人である事から法律上、個人と区別されていない。多くのsmall businessはこの形態を採用しているが、その理由は、設立が簡単な事、経営上の管理また責任の優位性、明確性である。その他の長所として、初期投資が少ない、運営費用がかからない、税務上の利点が多くある、全ての利益が所有者の取分となる、などが挙げられる。短所は、無限責任である、運転資金・資本の調達が困難である、継続性の問題がある、などである。

    会社設立については、個人との区別がないため、いわゆる会社法人ではないので、州政府にたいする登記書類の提出は要求されてない。但し、商号を使ってビジネスをする場合はCountyまたはTown (City) Clarkに登録する。商号とは、所有者の名前以外の名称を指し、 通常 “DBA”(doing-business-asの略)と言われる。

    税務申告は、所有者が個人の所得として申告するので、Sole Proprietorship自体では申告、納税の必要がない。所有者はIRS(国税局)に、Form 1040のSchedule CとSchedule SEを用いて、Sole Proprietorshipからの所得を報告する。
    尚、従業員がいる場合はForm SS-4を用いてIRSからEmployers Identification Number (EIN)を取得する必要がある。

    ウエッブサイトBizstats.comに掲載されている統計では、2000年度の税務申告書が提出された全企業が約25百万件、内、Sole Proprietorshipは18百万件弱となっている。米国、全ビジネスの内、約72%がSole Proprietorshipである。

  2. Single-Member Limited Liability Company (SMLLC)
    先ずLimited Liability Company(LLC)について説明します。
    LLCは、ワシントンDCを含む全50州で設立が許されている。特徴は、partnershipとcorporationのhybridである事から、両者の利点を備えている。Corporationであるため負債に関しては有限責任、税務上はpartnershipもしくはSole Proprietorshipとして扱われるため、LLC自体は納税せず、shareholder(株主)が個人所得として申告、納税をする。このように所得を生むが、その納税が課されていない会社形態をpass-through entityと呼ぶ。またこのような税務上の仕組みをpass-through taxationと呼んでいる。LLCの shareholderはmemberと言われ、非居住者やcorporationもmemberになれる。またmemberは経営に参加する事ができる。その他の特徴として、定款にて、duration(存続期間)の制限、またstockのtransferability(譲渡)の制限を設けている。

    Single-Member Limited Liability Company (SMLLC)は現時点で、3州を除いた他の全ての州で設立が許されている。この形態はmemberが一人だけのLLCで、連邦税上はcorporationとしての性格が無視される。もしmemberが個人であれば、Sole Proprietorshipと同様に Form 1040のSchedule C,E,F,SEを用いて、もしmemberがcorporation(法人)であればForm 1120またはForm 1120Sを用いて税務申告を行う。SMLLCは税務上corporationとして取扱う選択ができるが、その選択は申告の簡便性、二重課税等を排除しているLLC本来の目的に反するため、懸命ではない。

    Corporationとしての性格が無視されるのはあくまでも税務上の事で、他の法律上の要求を満たしている限りはcorporationと同様、memberは会社債務には有限責任であり、member個人に不法行為があった場合を除き、member自身の資産はLLCの負債からは守られている。

  3. S Corporation
    この形態は、連邦税法上のSubchapter S に定められている事にその名前の由来がある。正確にはSubchapter S Corporationと呼ばれ、特別小規模会社と訳せるが、以下の条件に該当する法人であればS Corporationとしての選択ができ、税務上partnershipもしくはSole Proprietorshipと同じ扱いになる。因みに、その他のcorporationは、次の4.に出てくるC Corporationである。

    ・Domestic corporation(内国法人)である事
    ・Shareholderが100名以下(家族メンバーは選択により1名と見做せる)である事
    (American Jobs Creation Act of 2004による変更)
    ・Shareholderに非居住者またはcorporationなどがいない事
    ・One class of stock(1種類の株式)しか発行できない事

    S Corporationの選択は事業年度開始後2ヶ月半以内に、Form 2553を用いて申請しなければならず、また事業年度開始日現在で上記条件に該当してなければならない。申請が期限内に行われなかった場合は翌年以降の適用となる。申請後、IRSから許可が下りれば、Form 1120Sを用いて申告を行う。所得の性格によっては、法人レベルで課税される項目もある。
    ビジネスの所有者が一人で、何らかの理由でSMLLCの選択がない場合、S Corporationは有限責任、二重課税回避を可能にする唯一の選択である。

  4. C Corporation
    S、C の区別なく、corporationの最も魅力ある特徴は、株主は会社の債務に有限責任しかない事である。短所は二重課税であり、配当、株式売却、資産売却、会社清算などの利益が法人で課税された後、個人でも課税される。二重課税を防ぐためによく使われるスキームとしては、不動産、特許など将来価値が上がると予測される資産をLLCやLP のpass-through entityによって所有させる。資産はC Corporationに賃貸され、課税控除費用のレントが発生する。Pass-through entity のmemberもしくはpartnerでもあるC Corporationの株主は、その控除によって恩恵を受け、また資産売却時などの二重課税からも守られる事になる。

    その他、corporationが利益体質でなく累積損がでるまたは溜まっていく場合、将来に課税所得がでない限り、累積損は株主に何の恩恵も与えない。またキャピタルゲインについては他の事業収入(ordinary income)と同じ税率が適用される事、キャピタルロスにしても、キャピタルゲインとしか相殺できない事、所得申告が免除される利益(tax-exempt income)についても、配当、清算などで課税される事となる、などの不利がある。

    有限責任についていえばLLC でも達成できるはずである。それではなぜC Corporationを採用するのでしょうか。(1)資本調達が大きな理由としてあげられます。製造業、ITベンチャーのような業種では多大な資本投資が必要であり、また会社成長の過程で売掛金、在庫の増加を支えるために利益を社内に留保しなければなりません。(2)次に簡単な例で説明しますが、税務上も有利に働く場合があります。

    (例1)A、B、Cさん三人で始めた商売から、年間300万ドルの課税所得が得られる。三人の個人所得税の累進税率は最高の35%(2003年)である。C Corporationにて運営されているとすれば、法人税額は102万ドル(300万ドルの34%)である。一方pass-through entityで運営されているとすると、三人が税金を払うためだけでも合計で105万ドル(300万ドルの35%)の配当をしなくてはならない。差額の3万ドルは、C Corporationの成長を支えるための社内留保資金の増加となる。

    (例2)Davidさんは老後の生活の蓄えを目的に、予想課税所得が年間5万ドルのビジネスに投資した。投資からは、一切引出す事なく7年間商売を続けた後、売却するつもりでいる。Davidさんはその他からの収入で、個人所得税の累進税率は最高の35%(2003年)である。この5万ドルの所得をpass-through entityとして申告すると、35%の税率が適用される事になる。一方C Corporationの所得として申告すれば15%、結果として20%の差、税額としては1万ドルの差が出ている事になる。その他self-employment taxの関係で、C Corporationでの運営では最高で年間7千ドル超の税金のセーブとなる。

    C Corporationでは現在の所得税の支出をおさえ、現金の収支を最大化させる効果があり、また株式市場上場をめざすには一番適した形態である。


  5. Multi-Member Limited Liability Company (MMLLC)
    SMLLCの冒頭で説明したように、LLCは株主であるmemberには有限責任、また所得税申告上有利になる選択肢が与えられており、choice-of-entityとして人気が増している。MMLLCの選択は、複数の所有者がおり、pass-through taxationが要望され、利益留保を特に必要としないサービスを提供するビジネスを運営する状況では最適とされる。ある統計では、Engineering and management support service、 Real-estate service、Construction and general contractingの3業種が、LLCを最も利用している商売としている。

    LLCの採用にあったて注意すべき事は、税務申告の要求が州によって異なる点である。将来の煩雑な事務処理を避けるため、設立申請前にその点を十分検討しておく必要がある。


  6. General Partnership (GP)
    Partnershipとは、二人以上(法人も含む)が集まり、営利を目的として共同事業を遂行するためのassociation(団体)と定義されている。Partnershipはpartnership agreementにより成立、agreementは書面でなくても有効である。それぞれの所有者たちはpartnerと呼ばれ、2種類のpartnerが存在する。General partnerは、partnershipの負債にたいし無限責任を追い、一方、limited partner はcorporationの株主同様partnershipにたいする持分を上限として有限責任のみ負う。Partnershipは法律により設立した組織で、corporationの株主と同様に、partnerとは法的に個別の存在である。LLCの最初の説明にも含めているが、税務上partnershipはpass-through entityとして扱われ、それ自体では課税されない。但しSole Proprietorshipとは違い、各partnerの所得報告を目的とした申告書を提出しなくてはならない。 連邦政府にはForm 1065のSchedule K-1を用いて全てのpartner各々に属する所得を記載、報告する。

    Pass-through entity の意味ではS Corporationと同じであるが、partnershipには税務上有利な取扱が多く存在する。例えばentityレベルでの控除項目が多い、価値が上昇した資産のtax-free transferがし易い、課税所得・損の振分けを資本配分に関係なく設定できる、などである。

    GPはpartner全員がgeneral partnerで構成されるpartnershipであり、設立においてはSole Proprietorship同様に商号を使ってビジネスをする場合以外は、州政府にビジネス登記の必要がない。GPの選択が適するのは、二人以上の信頼が厚い所有者がいる、pass-through taxation が要望される、LLC、LLPの選択がない、S Corporationでは都合が悪い、などの場合である。業種としては、不動産開発、法律・会計事務所のような専門職業サービス、設立初期に税務上の損が出るようなVenture capitalが挙げられる。


  7. Limited Partnership (LP)
    LPとは、limited partnerと少なくとも一人のgeneral partnerが存在するpartnershipである。一つ注意しなければならない点は、limited partnerであってもLP運営にactiveに参加していると、その特徴である有限責任性が失われてしまう可能性がある事である。税務上の取扱はGPと同じであるが、設立においてはcorporation同様、州政府にビジネス登記が必要である。適した業種としてもGPと似ているが、専門職業サービスはなく、family limited partnership (FLP)と呼ばれる、遺産相続の節税手段として用いられる。

  8. Limited Liability Partnership (LLP)
    LLPは比較的新しい形態で、80年代に不動産取引に関係して、法律・会計事務所が莫大な負債に直面した事が原因で制定されたstatutes(法律)に基いて設立が許され、現在では全50州で採用されている。GPとの大きな違いは、LLPのpartnerは他のpartnerや従業員の違法行為が原因の債務にたいしては、有限責任である。また多くの州のLLP statutesでは、partnerはLPのlimited partnerと同様に、LLPのcontract liabilities(契約債務)にたいしては有限責任としている。Contract liabilitiesとは、借入金、リース債務、買掛金など一般の債務を指している。つまり多くの州では、LLPのpartnerはLLCのmemberと同じようなプロテクションがある事になる。税務上の取扱はGP、LPと同じで、設立には州政府にビジネス登記が必要である。LLPはその発生の由来から、法律・会計事務所などの専門職業サービスの業種に適している。


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